『努力すればイケメンになれる』は大嘘 

 上の記事を書いたら、こんな質問が来ました。

ここにある「髪型を変えたらイケメンになれる。」という詐欺動画は誰がどんな目的で作ったのでしょうか?


これは良い質問です。


みんなが「正しい」と言っていることに、突然私が異議を唱えているわけですから、『じゃあ一体なぜ、みんなはウソ・詐欺をしているの?』という疑問が生じるのは当然ですよね。

お答えします。




人間は複雑で高度な生命体ですから、様々な要素が絡み合って「嘘」をつきます。

そして、『不細工でもイケメンになれる』という「嘘」をつく人間が異常なまでに多いのは主に3つの観点から説明できます。



1、社会心理学的見地から、実験によって究明中の「公正世界仮説」
(私は、この説明がある程度正しいと考えていますが、個人的に好きではありません。一応紹介します)

ある実験で、明確に不平等なルールでゲームを行わせる。すると、敗者はゲームバランスが崩れていることに気がつくが、勝者はゲームが公正であると認識し、勝利が「自分のスキルの結果」であると考える傾向にある。 (ソースは下部URLより)


つまり、実際は「恋愛」に「顔」が超重要であっても、「勝者」であるフツメン以上の人間は、それが「自分の努力の結果」だと感じてしまいます。そして、「敗者のブサイク」=「努力不足」=「本当は頑張れば自分たちのようになれるのに、性格が悪く、怠惰でバカなためにモテない」と考える傾向があっても全くおかしくないのです。

彼らの考えが正しければ、髪なんかを整えればブサイクもイケメン(カッコいい男)になれるはずですよね? モテるのは「髪などの努力の結果」なわけですから。最初からどうしようもない人間なんていないはず

その気持ちの発露が、例の証拠動画です。

『ほら、こんなブサイクでも美容院に行けばイケメンになった!(俺がモテるのはこういう努力のおかげなんだ!)』って動画を出したい!

でも実際は、ブサイクはどんなに弄ってもブサイクでモテない。これじゃあ動画が作れない。
しょうがないからイケメンの角度詐欺で作っちゃえ。

 と、いうわけです。


この説明は私のではなく、大部分はこちらの方の受け売りです。ぜひご覧ください。

「※ただしイケメンに限る」というのは非モテの完全なる被害妄想なのか?






さて、私が当サイトで主張しているのはこちらです

2、経済学・生態学的な発想から、「ヒトの行動が、原則として当事者の生存と繁殖の利益になっている」と仮定する説


ヒトは社会生活において原則として自分の生存繁殖に有利になるように行動していますよね?

例えば、あなたはいきなり駅で全裸になったりしませんよね? なぜでしょう。……十中八九、おまわりさんに捕まるからですよね。

得が無い……どころか生きにくくなるような事を人間は基本的にしません。(リスクがあってもリターンがある行為なら割とします。ギャンブル等ですね)



もっと分かりやすい例で言いましょう。自分の彼女や妻が浮気していたら嬉しいと思えますか? きっと「嫌な気持ち」・「怒りの気持ち」になりますよね。 

もしあなたの感覚器官が壊れていて、自分のメスが浮気をしたときにそれを止める機能が働かない状態(つまり嫌な気持ちがしない。怒りが湧かない状態)だとすると、あなたのメスは浮気相手の子供を妊娠することになります。

結果、あなたは子孫を残せず、「浮気で怒らないオスの遺伝子(=あなたの遺伝子)」は減り、もしくは絶滅します。

これは「適応度」という用語で説明される捉え方ですが、逆算すると、今の私たちには「相手に浮気されると怒る」感覚が備わっているハズなのです。実際そうですよね?






さて、やっと本題に入れます。

『不細工でもイケメンになれる』という「嘘」をつく人間が多いのは、この発想で行くと、彼らが得をするからわざわざウソをついている、という可能性が出てきます。


より具体的に言うと、

本当は皆が恋愛を出来るわけじゃなく、あぶれるブサメンも出てきてしまう。だけど、それを隠してブサメンに恋愛市場に留まってもらうと、多くの人間が得をする
 ということになります。


どういうことかというと、


①単純にブサイクであっても結婚の候補。(普通以上の女にとっての利益)
 男女の人口比は約49対51とほぼ同数に近く、一人また一人とブサメンが諦めて独身を貫いてしまうと、パイが減って女の一部が結婚できなくなる。貧乏くじを引くのは自分ではないかもしれないが、下手すると自分かもしれない。これは良くない。

②モテない男が開き直って、『無敵の人』になって暴れ回ると困る。(普通以上の男女にとっての利益)
 実際アメリカでは、モテない男が通り魔になるなど、社会問題化している(米では「インセル」と呼ばれる)

③通り魔とまではいかなくても、恋愛市場にいる男は安心できるのに、諦めて抜けられると困る。(普通以上の男女にとっての利益)
 モテようとする男は身だしなみを清潔にしたり、一応女子供に優しくしたり、「マトモな人間」を一応演じる。一方で、諦めてしまった男は風呂にも入らない。街中の子供にも優しくしない。とにかく危険。大げさに言えば、社会が不安定化しかねない。



といった利益が考えられます。

ちなみに、これらの特殊利益を当サイトではDAHHと表記しています。詳しくはブサメン学の第6~8回をご覧ください。

ブサメン学 第6回 『ただしイケメンに限る』を否定したがる理由 前編
ブサメン学 第7回 『ただしイケメンに限る』を否定したがる理由 中編
ブサメン学 第8回 『ただしイケメンに限る』を否定したがる理由 後編







話を戻します。

もちろん、このような細かな利益関係を皆が想像しながら過ごしているわけではないでしょう。


しかし、無意識のうちに、自らの生存と繁殖に有利になるような方向性を指向して、人々が様々な行動に出ていたとしても、おかしくは無い、と私は推測しています。


実際、注意して見ていくと、このような利益追求行動は山ほどあります。
例えばですが、

ブスにも優しい男がモテるよ
暴力を振るわない男がモテるよ

という女性の恋愛アドバイスは、事実と異なっていて不自然ですよね。
なぜなら、モテ男だろうがモテなかろうが、男は割と等しくブスに冷たいしDV男でもモテる奴はモテる

つまり、これは真実をアドバイスしているのではなく、

ブス(私)にも優しくしてほしい
(私に)暴力を振るわないで欲しい

という願望・要求を「アドバイス」の形で相手に伝えているだけなのです。
これも、無意識に自分の生存と繁殖の利益を追求した形と言えませんか?





したがって、「ブサメンに夢を持たせるような詐欺動画を作る行為」というのは、本人がどう認識しているかはともかく、「自己の生存繁殖利益を追求」がその原動力(の一端)になっている、という見方が出来ると私は考えます。





3、未だ人々が無知であるという見方

 
 視点を大きく引きましょう。
現代は確かに進んだ時代です。当たり前ですが、歴史上、今が最も発展した時期とも言えます。


しかし、医学も科学も未知の分野は多く、何もかも人間が解き明かしたわけではないのです。


恋愛(ヒトの繁殖)に関してもそうです。


各人が精々50年くらいの人生経験に基づいて、好き勝手なことを言っているのが現状。


「ブサメンでもモテる」「ブサメンでもイケメンになれる」という主張が、私は間違っていると確信していますが、正しいと思っている人間もいる。それだけです。


当サイトはそれを様々な角度から検証し、皆さんに判断材料を提供しています。判断は各人がするものですから。

一つだけ自信を持って言えるのは、私はネット上の誰よりも長文で議論・分析をしている、という事です。
私の説明に矛盾や瑕疵が多いならそれだけ間違っていると言えるし、逆に説明と分析に粗が無く、相互に支え合っているとしたら、私の推測や仮説は信用できる、となります。


ぜひ他の記事もごらんになってください。なんでも返答致します。



以上「詐欺動画が出てくる理由の3つ」でした。






ちなみにですが、

「適応度」の考え方だと、生物が浮気に嫉妬するのを合理的に説明できるけど、ヒトの世界で「NTR」が流行っていることを説明できないじゃないか


という指摘に関しては明確な回答を用意しています。これを読んでいる方の中で、もし気になる方がいるようでしたら記事をいずれ追加します。
(ざっくり言えば、異常な興奮によって精液量を増やすことで、精子間競争に資するためのメカニズム、と私は推測しています)

浮気への嫉妬は「配偶者防衛」という学術用語が存在するレベルなので割愛します。








0